People of birds....


悲しい恋の終わり



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ほかの民と恋をしてはいけない
ほかの民と番(つがい)になってはいけない
これらの掟を破った者は制裁が加わる
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ヘンリーと約束の場所へ向かう。
ヘンリーの国、英吉利に行き、俺は彼と共に生きるのだ。
風が吹く。嵐の気配だ。俺は歩みを早めた。

血の匂いがする―
ぞっとしてナナマカドが群生する場所にたどり着くと、ヘンリーの姿を探した。ナナマカドの実のそばにあるのは、緋いヘンリーの亡骸だった。 その体は、緋く緋く、一本の矢によって染められていた。
俺は、ヘンリーの体に触れる。
冷たくて、抱きしめてくれたあの時とは全く違った。
俺の国に来てくれるかと言ってくれたあの時と。
鳥の声がする。責め立てるように鳴く声は「警告」
鳥の民の長である女王の最後の、群れから離れて死ぬか、従うかという選択肢だ。
俺はそっとヘンリーにくちづけた。まるで木の枝にくちづけたかのようで。
俺が愛さなければ彼は死ななかっただろう。
女王よ、俺はここに死のう。
ヘンリーとともに…。

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女王は白骨化した異邦人の学者と鳥の民であったアルスの亡骸を見つけるとため息をついた。
「もうよい…埋めてやれ、ともに」
掟は絶対である。しかし、その掟を執行するのは自分であると思うとまた苦しみしかなかった。アルスを愛していたからこそこの残酷な掟をやすやすと下す気になったのであろう。 私は、アルスと番になり、ともに子を産みたかった。
その気持ちは誰にも言えない。女王は花を添えると踵を返した。

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英吉利(えいぎりす)にてヘンリーの名で論文が発表された。
死の直前に送られていたものである。
そこには「親愛なるアルスへー」と最初に綴られていた。
鳥の民に関する深い愛情と、研究、そして番に関する記録は多くのものを驚かせた。そして、学者たちは鳥の民に会うという夢を抱くー。 そして、同じように悲劇へと向かって行くのである。

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ヘンリーとアルスのエンド。
くらーいエンドですが彼らは幸せだったのかもです、一瞬でも。


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